DESIGN to UK - デザインと英国

ロンドン在住デザイナーのユズハシがイギリスでの就職活動、仕事について書いてるブログです。

僕のインターンシップ戦争

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渡英してしばらく経つと(といっても僕はナショナルインシュランスナンバー発行が相手の手違いで時間がかかったり、日本の仕事を遠隔操作でやってて結局2ヶ月くらい生活基盤作るのにかかってしまいました)精神的な余裕がでてきて「よし!そろそろ仕事探そうかなあ」という気分になってきます。

こちらの求人サイトをみてるとインターンシップも多くあります。「Graphic Design Intern」などはインターンシップのことです。
欧米ではインターンシップで人をとって、技術面や人柄などをみたあと正社員登用することが一般的です(もちろん、会社によってはインターンシップのみで正社員登用目的じゃないところもたくさんありますが)

僕は最初「インターンシップで会社のいろはを学びながら就職活動をしよう!」と思い、インターンシップにちょっとづつアプライしていきました。
英国求人サイトだけじゃなく英国に住む日本人向けクラシファウンドMIXBの求人ページも時々チェックしていました。

そんな中、MIXBから応募したデザイン事務所から連絡がきました、面接の連絡で日時が日本語で書いてあり書類は通過したようです。
その事務所は日本人とイギリス人の共同経営で、求人募集欄に「求めているスキル、ソフトウェア名、日英両方の国のデザインをできる、インターンシップといえど責任をもち会社の一員としてデザインをしてほしい。交通費支給、お昼ご飯支給」と書いてありました。僕はすぐに面接日時にOKの返事をだしました。
このインターンシップを受けようと思ったのは求人文章に惹かれたのと、応募してから2時間後に返事がきたからです。他にアプライしたところは早くて1週間遅くて一ヶ月(!)後に返信が来ました。

やっぱり日本人が働いてるところは返信が早いな~これからどうなるかわからないけど一歩前進だぞ♪と快調な滑り出しに喜びビールをのんで寝ました。

そして面接の日。迎えてくれたのは50代くらいの日本人女性。この方が経営者の一人のようです。僕は日本で作った印刷したポートフォリオを持参し(もってこいなんていわれてなかったのに)意気揚々とオフィスに入りました。
さて面接だ!と思ったら彼女は「じゃあまず皆の昼食を作ってくれるかな」とキッチンのほうを指差して言いました。思わず「えっ!?」と声にだしてしまったけど「これも面接の一環か!?協調性をみてるのか!?外国だから少し変わった面接なのかも!?」と思いキッチンへ。

 

僕は自分ひとりで食べるくらいの料理はできるけど、人に振舞うほどの料理はできないのでてんぱりました。というかこの状況一体なに!?レストランのインターンに間違ってメール送ったのか!?とおもいつつパスタがあったのでパスタを茹でて、冷蔵庫にはいてったトマトソースに野菜をいれてトマトパスタを作りました。
てんぱりすぎて味見してもトマトの味しかしない!おいしいかどうかよくわからない!という状況…

 

その日いた5人分昼食をつくり各々のデスクへ運びました。イギリス人は「美味しいよ、よくこんな短時間で作れたね!」と喜んでくれましたが、先ほどの日本人女性が「野菜の切り方汚いね」「こういうのもプレゼンなのよ」とブツブツ。
僕は大学時代、全然興味なかったけど友達が貸してくれた「プラダを着た悪魔」という映画にでてくるミランダのことを思い出していました。でもあまりに突然のことに頭が正常に動かず「ああ野菜も美しく切れずしてデザイナーにはなれないって事かな…」と思っていました。

その日はその後倉庫の掃除をして、みんなの分のコーヒーを買いに(自分のぶんは自腹w)行って終わり。片手にもったポートフォリオの重みにむなしさを感じながら家路につきました。

家ではファッションデザインを勉強するハウスメイトとキッチンで会い彼は陽気に「インターンどうだった!?今日は面接だっけ?英語は大丈夫だったか!?」と話しかけてきました。僕は「うん、まあまあだった、いきなり働かされたのには驚いたな」と返しました。
ハウスメイトは「おい疲れてるな、よく寝ろよ~」といって部屋に戻っていきました。部屋に戻った僕はインターンシップの募集要項をもう一度確認しました。並ぶデザイン関係の用語、求人カテゴリーも「デザイン」になっています。僕が間違えてCV送ったわけじゃないぞ…

翌日、携帯に着信が。あのインターンシップ先でした。「今度の金曜日にきてくれる?」と。僕は「はい」と返事しましたが心の中はもやもやしていました。しかし、あの事務所で正社員登用云々は置いといて、でも何かにつながるかもしれないとかすかに希望をまだ持っていたのです。

金曜日、その希望は早速打ち砕かれました。言いつけられるのは掃除とお皿洗い。会話もほぼなくなくぼんやり窓のそとに広がるロンドンの風景をみていました。
そういえばここの人たちは自分の作品を一度も見たことがないな…これは下積みというのなのだろうか…ただたんに清掃員を雇う経費を浮かせたいだけでは…でもデザイン事務所として募集をだしてたのだから何か考えがあるはず…
ぐるぐる考えながら、 帰宅しその日は前述のハウスメイトが帰ってくるのをキッチンで待ち伏せしていましたwとにかく誰でもいいから話したかったので。
ハウスメイトが帰宅し「夕飯作りすぎちゃってもし予定がなかったら一緒に食べない?」と声をかけ彼は快諾。カレーを二人で食べながらたわいもない話をしていました。

彼はファッションデザインを大学で専攻している21歳。課題で先生にコンセプトが伝わらなくて悔しかった、という話をしていました。僕も「悩みと言えば…」と便乗してインターンシップでのことを話しました。
インターンシップ先でデザインに全く関係のないことばかりしていること、でも折角採用されたからもしかしたらあと何週間かがんばればデザインの仕事が出来るんじゃないかと推測していること、デザインのことがしたいからあまり仕事に身が入らないこと…言い始めたらとまらなくなり、彼も「うん、うん」とずっと聞いてくれました。

僕は話しながら、僕は自分で思っている以上に仕事が見つかるか本当は不安に思っているんだと気づきました。もっと言えば、自分がやりたい仕事につけるかどうか。
どこかで落ち着きたい、という気持ちがあったんでしょう。折角インターンで採用してもらったんだしここでどうにかできないか、何か学べないか、とすがりつく気持ちがあったんだと思います。

彼はビールを一気飲みしたあと「君は間違っている!」と言いました。こんなに面と向かって否定されるとは思っておらず思わず「What!?(はあ?)」みたいな返しをしてしまいました。「君は日本からわざわざこの国でデザインをするために来たのなら、そんな小さなことで迷うような人間じゃないはずだ。インターンシップ先に居場所を求めるのはやめろ!全く意味のないことだ!」とザックリ。

そして(これは一生忘れないと思うけど)「やりたい仕事があるならそれに命をかけなきゃこの国じゃやっていけない!優秀な人間なんてゴロゴロいるんだ!自国どころか外国から優勝な連中が毎日移住してくる!それがロンドンだ!自分の居場所を作るには自分を信じるしかないんだ!インターン先のそいつらを信じて自分を犠牲にするな!過去の自分に失礼だぞ!」と一気にまくしたてられ、僕はビックリしたと同時にロンドンで生まれ育った彼の意見に目が覚める思いでした。

彼はまたビールをあけながら「ごめん、ちょっといいすぎた」といい「君がやってる仕事のほとんどはPAといって秘書みたいな立場の人たちの仕事だし、清掃の仕事は清掃員がやるもんだ、人の仕事をとっちゃいけない。この国には仕事がない人は沢山いて企業はそれらに求人をだす義務があるんだ、経済をまわすために。デザイナーでPAで清掃員だなんて欲張りだよ!そうだろう?」と。

次の日、僕はインターン先に就職が決まったと嘘をつき辞める旨を伝えました。例の女性に「え?やる気ないの?デザインの仕事がしたいんでしょ?もうすこししたらやらせてあげようと思ってたのに。わかい子って本当に信用できない」と10分ほど説教をくらったけどとてもすがすがしい気持ちでした。

その夜、ハウスメイトにインターンシップを辞めた事と、これから就職活動を本格的にやるという報告をしました。「クソはどうやってもクソなんだからクソだとわかったら逃げるが勝ちさ」という彼に「クソクソ言い過ぎだよ!」といったら「これがロンドン流!がんばれよ、クソ日本人」と笑っていました。

そんなわけで、僕のインターンに関する経験は情けなく誰の役にも立たない情報だろうけど、こういうこともあるんだよ、ということで書きました。
多くの人が仕事を始めるより辞めるときの方が難しいと感じるのは「あとで後悔しないか?」「この先もしかしたら自分の希望の仕事ができるかも」という不確かな憶測に振り回されるからだと思うし、実際僕もそうでした。
こうやって文章にすると「ぜってーあいつら俺にデザインの仕事させる気なかったわ」と思えるけど、当時はイギリスに来てとにかくなにかやろう!といろいろ手探りでやってたので判断能力がかなり落ちてたのだと思います。
僕の場合もですが、こういうとき国籍年齢問わず身近な人や、スカイプで日本の友達と話せるなら一回「こういう状況なんだけど」と話して第三者からの意見を聞くというのはとても大事だと思います。

そういえば上記のハウスメイトは今、ファッションデザイナーとして働いています。
相変わらず上司もクライアントも全員クソだっていってますが自分の仕事に誇りをもってなんだかんだで楽しそうですw
今は一緒にはもう住んでいないけど時々飲みに行ってお互い近況報告しています。

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- Design to UK -
Thank you for reading this to the end!

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